
皆さんこんにちは!
有限会社溝端、更新担当の中西です。
良い内装は、良いヒアリングから生まれます。感性だけではなく、事業KPIや運用フローまで踏み込んで言語化することで、後戻りを最小化し、コストと期間を短縮できます。ここでは、誰に何をどう聞き、どのように合意形成するかを、実務テンプレートとともに詳述します。🧩
1)ヒアリングの準備
• 事前アンケート:面積、利用人数、ピーク時の同時利用、必要収納、衛生基準、IT機器、荷捌き。Googleフォーム等で可視化。
• 現地観察:開口部、日射、騒音、臭気、既存設備、搬入経路。動画・写真を共有フォルダに集約。
• ステークホルダーマップ:意思決定者・使用者・保守担当・ビル管理・消防。全員の“痛み”を把握。
2)質問リスト(店舗・オフィス・住宅共通)
1. 目的とKPI:売上・回転率・客単価、在庫効率、来店導線、滞在時間、従業員満足度、光熱費。
2. ブランド/暮らしの体験:世界観、素材感、音・匂い、照度レンジ、色温度、座り心地。
3. 運用フロー:開店準備〜閉店、清掃、補充、荷受け、ピーク時の動線、メンテナンス。
4. 法規/制約:用途地域、建築基準、消防、内装制限、ビルの禁止工法。
5. 設備容量:電気kVA、換気回数、給排水径、床荷重。将来の増設余地。
6. スケジュール/予算:固定日程(移転・オープン)、上限金額、不可欠な見せ場と妥協点。
3)要件定義書の作り方 📑
• 1ページサマリー:目的、KPI、面積、席数、ゾーニング比率(客席/バック/ストック)、トーン&マナー、優先順位。
• 仕様表:床・壁・天井・巾木・建具・金物・照明・電気・空調・設備・什器の“最低限満たすべき条件”。
• 成果物定義:図面セット、モックアップの範囲、サンプルボード、3Dの有無、竣工図・保証類の提出条件。
• 変更管理:変更申請の期日、影響評価(コスト・工期・品質)、承認フロー。
4)ゾーニングと席数計画 🗺️
• 基礎式:必要席数=ピーク同時利用÷回転率×安全係数。バックヤード比率は用途により15〜40%。
• 動線:主動線2.0m、スタッフ動線1.2m、車椅子回転1.5m目安。ストック→バック→フロア→客席→レジ→退店まで“渋滞ゼロ”を設計。
• 視線設計:ファーストビュー、アイキャッチ、奥への誘導。鏡・照明・床材の切替で視覚的な“矢印”を作る。
5)体験コンセプトの言語化 🎯
• キャッチコピー:「3秒で伝わる」言葉に凝縮(例:“静けさの図書室オフィス”)。
• マテリアルの辞書:素材の温冷・硬軟・光沢・目地ピッチなどの“物性言葉”でぶれない軸を作る。
• 音・匂い・温度:照度500lx、色温度3000K、騒音NC-35など、数値と比喩の両輪で共有。
6)合意形成のコツ 🤝
• 二択で進める:A案/B案で論点を浮かび上がらせる。写真サンプルで“感覚のずれ”を削る。
• 反対意見の先取り:清掃性・耐久性・予算・工期の反論を“QA表”に先に書き込む。
• モックアップ/サンプル:小口見切り、手触り、椅子の座面硬さは実物確認が最短距離。
7)テンプレート(抜粋:要件定義1ページ)
• 目的:____/KPI:____
• 面積:__㎡/席数:__席/バック比率:__%
• コンセプト:____
• 仕様:床__/壁__/天井__/建具__/照明__/空調__
• 設備容量:電気__kVA/換気__回/給排水__A
• スケジュール:着工__/竣工__
• 変更管理:締切__/承認者__
まとめ:要件定義は“企画書”ではなく“契約書”。あとで揉めないための共通言語であり、図面・見積・工程の“座標軸”です。ここが固まれば、現場は半分終わったも同然です。🧭✨
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ヒアリング実践パック 🧰🗣️
A. 60問チェックリスト(抜粋)
1) 1年後に“やってよかった”と言える数値は?(売上/CS/作業時間/光熱費)
2) 来店ピークは曜日/時間でいつ? 同時滞在の最大人数は?
3) “並び”は許容? 待ち時間の上限は?
4) 匂いは出したい/消したい? 香り演出の有無。
5) 撮影スポットを作る? ロゴ/背景/鏡の扱い。
6) 清掃は誰が、どの頻度で、どの道具で?(モップ/自動洗浄)
7) メンテ不能日(休館/定休日)は? 夜間工事の可否。
8) IT:無線/有線、AP台数、会議配信の要件、ポリシー。
9) 音:許容dB、BGM/無音、残響の許容範囲。
10) 将来の増床/分割の可能性と、そのときの継ぎ足し方。
B. ユーザージャーニー地図(住宅版) – 朝:起床→洗面→朝食→ゴミ出し→出発(交差をゼロ) – 夜:帰宅→荷物置き→手洗い→着替え→調理→入浴→就寝(5歩動線を死守)
C. 1ページ要件定義の“埋め方”例(飲食40席) – KPI:回転率1.6→1.9、客単価¥1,100→¥1,250、レビュー★4.0→4.3 – コンセプト:「焼き立ての香りと灯り」 – 仕様:床=長尺+役物タイル、壁=塗装+一部タイル、天井=露出+ライン間接、照明=Ra90/3000K、空調=天カセ×3+全熱交換器 – 設備容量:電灯20kVA、換気20回/h(厨房)、給排水25A – 長納期:造作天板(突板/焼付)8週/輸入照明10週 – 変更管理:申請締切=毎水曜17:00/承認者=オーナー/影響評価=費・期・質
D. 現地観察の型 – 光(窓方位/眩しさ/反射)、音(外乱音/残響)、匂い(厨房/外気)、温度(ドラフト/輻射)を動画+温湿度/CO₂で記録。🌡️
E. モックアップ評価表(5段階) – 触感/清掃/耐久/写真映え/コスト → 総合3.8以上を採用、3.5未満は再設計。
F. 合意形成の“二択”例 – A:全面タイル(高級・高耐久・高コスト)/B:長尺+見せ場だけタイル(運用良・コスパ) → Bを採用、見切りに真鍮Tで格上げ。✨
G. サンプル発注リスト雛形 – 床3種/壁4種/巾木3種/見切り3種/照明3社/金物2社 → 写真+触感コメントを併記して提案。
H. ヒアリングNG例 – 「お好みは?」だけで終える。→ 数値(清掃時間/光熱費/回転率)まで掘る。📊
弊社では様々な事業を行っております!
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皆さんこんにちは!
有限会社溝端、更新担当の中西です。
内装工事は「図面どおりに作る」だけの仕事ではありません。事業目標(売上・ブランド・生産性)や暮らしの課題(動線・快適・安全)を“空間”という形で解決する総合プロジェクトです。成功の秘訣は、最初の一手で8割が決まると言っても過言ではありません。本稿では、全体像を俯瞰しながら、見落としやすい勘所を実務目線で解説します。💡
1)内装工事の7フェーズ
1. 要件定義:面積・用途・席数・収納・什器・IT・法規条件を言語化。KPI(例:回遊時間-20%、商品接触回数+30%)まで設定する。
2. 基本計画:コンセプト、ゾーニング、概略レイアウト。実測調査で梁・柱・PS・既存配管の制約を把握。
3. 実施設計:平面詳細、展開、天伏、設備図、仕上表、建具表、納まり図。干渉チェックと施工可能性の検証が肝。
4. 見積・VE:概算→本見積→交渉→VE(機能を落とさずコスト最適化)。
5. 施工準備:工程表・資材発注・職種手配・近隣挨拶・仮設計画・安全計画。
6. 施工:解体→下地→ボード→仕上げ→設備・電気→クリーニング→社内検査。
7. 引渡し・運用:是正対応、取扱説明、竣工図、保証書、定期点検の設定。
2)関係者と役割(誰が何を決める?)
• 施主(オーナー):目的・予算・期日を最終決定。チェンジオーダーの承認権限を明確化。
• 設計者:空間の体験と納まりを設計。法規・性能の整合を担保。
• 施工者(現場):工程・品質・安全・コストの現場責任者。図面に矛盾があれば早期にRFI(照会)を起票。
• 専門業者:電気、空調、衛生、造作、建具、床、仕上げ等。サブの工程遅延が全体のクリティカルパスを押す点に注意。
• 第三者(管轄庁・ビル管理):防火・内装制限・設備容量・搬入出規制のルールを管理。
3)スケジュールの鉄則 ⏱️
• “決める工程”を先に決める:発注の要否・納期が長いもの(造作家具、特注建具、輸入壁紙、照明器具)は計画初期に確定。
• 現調→実測→干渉チェック:既存建物ほど「開けてみたら違う」が起こる。天井裏カメラや小開口確認でリスクを前倒し。
• モックアップ:壁見切り・R角・手触りなど、写真やカタログでは伝わらない品質を早期に共有。
4)コストの見方 💴
• 原価構成:直接工事費(材料費+労務費)+共通仮設費+現場経費+一般管理費+利益。見積比較は“内訳”で見る。
• 落とし穴:養生・搬入出・夜間工事・残材処理・諸官庁手数料・電気容量増設などは見落としがち。予備費3〜7%を確保。
• VE例:無垢フローリング→挽板+ワックス運用、特注金物→規格品、タイル全面→役物+アクセントで面積圧縮。
5)法規・防火・内装制限 🧯
• 用途変更の要否、面積区画、避難経路、内装制限、不燃材料の指定、電気容量、換気量。
• ビル管理の禁止工法(湿式不可、コア貫通不可、夜間騒音規制など)を事前確認。
6)コミュニケーション設計 🗣️
• 定例会:週1回、設計・施工・施主が参加。議事録は24時間以内配布。
• 意思決定の窓口:誰が何を決めるかを1ページに集約。迷子を防ぐ。
• RFI/変更管理:小さな変更も番号管理。口頭合意を禁じ、紙とデータで痕跡を残す。
7)リスクとレディネス ⚠️
• 既存不適合:床下・天井裏の“遺跡”に注意。補修費のクッションを持つ。
• 納期遅延:輸入材・半導体不足・物流混乱。代替案を“先に”決めておく。
• 養生不備:エレベーター・共用部の損傷は高額。写真記録と保険加入をセットで。
8)チェックリスト(抜粋) ✅
☐ 目的KPI/要件定義が文書化されている
☐ ビル管理・消防と事前協議済み
☐ 実測図と干渉チェックを完了
☐ 長納期品の発注・代替案を決定
☐ RFI・変更管理の運用ルールがある
☐ 竣工図・保証・メンテ引継ぎ計画がある
まとめ:内装工事は「決める順番」と「可視化」が9割。コンセプト・図面・工程・費用・法規・コミュニケーションを“同じ地図”で共有できれば、現場は驚くほどスムーズに進みます。🌈
弊社では様々な事業を行っております!
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